大東建託(東京都)は2020年12月1日より、情報技術開発(東京都)と共同で開発した、AIを活用した低層建築用の「AI基礎工法判定システム」の導入を開始する。
基礎工法とは、建物の沈下などが起こらないようにする基礎工法の総称で、建物荷重を支持地盤へ直接伝える「直接基礎」や、杭による摩擦力や支持力を利用する「杭基礎」など様々な種類がある。賃貸事業を地主に提案する際には、敷地の地盤調査を行い、地盤の固さや深さ、建物の規模、施工費用などの条件から、どのような基礎工法を採用するか判断する。
しかし、事業提案段階では既存の建物が建っているなどの理由で地盤調査を実施できない場合が多く、周辺の地盤データなどから基礎工法を想定し請負金額の算出を行う必要がある。その後、実際に地盤調査を行ってみると、想定していた基礎工法を適用できないことが判明するなど、建築コストが増加してしまうといったケースがある。
「AI基礎工法判定システム」は、同社が設計・施工した既存建物(約16万件)や国土交通省が出展する土地環境のデータを学習基盤として開発された。AIの開発を担当した情報技術開発は、アンサンブル学習を用いた独自のプロセスを基に工法の特徴を抽出し、基礎工法と地盤改良の種類や深度を実用レベルで予測する。同社では、これにより地盤調査を実施できない場合でも、同システムによる基礎工法判定によって、導入前と比較して請負金額の算出精度の向上やプロセス簡略化による事業提案のスピードアップを実現できるとしている。